2012年7月9日月曜日

ココナラができるまでのぶっちゃけ話(その1)

7月3日(火)にローンチした「ココナラ」。おかげさまで、オープン3日で登録ユーザー2,000名、出品サービス400件、サービス購入200件を突破した。

有料のサービスで、しかもログインしないとサイトが見れないというリリースの仕方の中では、まずまずの数値と言っていいのかな?

これまでお世話頂いたみなさま、本当にありがとうございます。


さて、当初から「起業ブログ」と言っておきながら、これまでこのブログでは一切ココナラについて触れて来なかったので、とりあえずオープンに辿り着いたことだし、そこまでの経緯を公開してみる。

Webサービスなんて作ったこともなかった創業メンバー3人が、何を、どうして、ここまで辿り着いたか。

これから起業を考えている人にはいくらか参考になるかもしれないので、だいぶぶっちゃけてみようと思う。


(もっと詳細が聞きたければ、5人以上集めていただければなるべくどこにでも話に行くので、お声がけください。)



ココナラはどん底から始まった


前にこのエントリーでも書いたことがあるが、もともと株式会社ウェルセルフは、ヘルスケアビジネスをやろうとして作った会社だ。

2つ目のビジネスプランは2ヶ月くらいスタディをし、開発にも入ったところで、ストップした。こちらはかなり本腰を入れて準備をしていたので、ストップした時はさすがに2日間ほど意気消沈した。

この、開発をストップしたのが9月27日(火)だった。

誰も言わなかったけど、会社として解散するというオプションもある中で、さてどうしようかと3人。

とりあえず、いくつか残っていたビジネスプランの実現可能性をチェックしようということになった。

元々、ココナラの原型、「マイクロサービスプラットフォーム」という呼び名のビジネスアイデアは、共同創業者の @satoshimmyo から夏ごろに聞いていたのだが、直感的にビジネスとしてスケールが小さすぎるなぁと思い、却下していた。

ただ、9月末頃には、こういうCtoC系のサービスもうまくやればそれなりのスケールを持ちそうだという感覚と、ヘルスケアビジネスの開発プロセスの中で、「自分の知識を活かしてもっと人の役に立ちたい」と真摯に思っている方に出会えたおかげで、それなりにいけるかもという気分にはなっていた。

まあ、とにかく実現可能性を検討しなくちゃいけない。

ということで、その週の金曜日に、まずはアンケートをやってみた。
木曜日に思いつき、資料を作り、金曜日に友人たちにお願いをした。

急がなくちゃ!



これはいけるかも、と思ったアンケート結果


本当にありがたいことに、金曜日の夜にお願いしたアンケートは、月曜日の朝には60通ほど、翌週の終わりには100通ほど返ってきた。結構なボリュームのアンケートだったのに。。。

実際にお願いしたアンケートはこんな感じ。





パワーポイントでサービスイメージを作り、サービスのタイプを8つのタイプにわけ、それぞれ8個ずつ、合計64個のサービスの中から、欲しいものがあるかどうかを問うものだった。

僕が一番喜んだ結果は、とにかく、欲しいサービスがバラついたことだった。ほぼすべてのサービス案に票が入り、薄く広くばらけた。

どれかに偏ってしまったらプラットフォームとしては成り立たないと思っていたので、この多様性が驚きだった。


アンケートの結果のひとつに、以下の様な趣旨のコメントがあった。

自分でがんばって調べればできるものを、わざわざお金を払って他の人に頼むことはしません。

僕が個人的に欲しかった「あなたの代わりに、予算・目的にあわせて飲み会・二次会のお店を探します」というサービスは、その方にとっては理解できないものらしい。

一方で、「あなたの愚痴や悩みを聞いて、できる限りの励ましの言葉を書きます」みたいなものが女性から好まれていたりする。

僕にとってはこれこそなぜ必要なのかさっぱりわからない。そして、これくらいの振れ幅があるからこそ、「マイクロサービスプラットフォーム」は成り立つのかもしれないと思った。

アンケートが返ってきた月曜日の段階で、回答者のみなさまには、投票結果、投票の傾向分析、ビジネスアイデアの詳細な説明、疑問点への回答などを資料にまとめ、返信した。

これから何度も色々なお願いをしていくことになるかもしれない中、アンケートをお願いしっぱなしでは次から協力してくれなくなるかもしれないので、すぐに返すことが重要だと思っていた。

その時送った資料の中での分析のひとつがこれ。いまのココナラのベースとなる理解は、この時のアンケートでかなり築けたんだなぁと振り返って思う。100人から詳細なアンケートをもらえれば、それなりの意味合いは見いだせるものだ、ということかもしれない。




ニーズの検証プロセスに突入


さて、マイクロサービスプラットフォームのテストをしようと思った翌週から始めたのは、実際にオンラインでやり取りすることでどれくらいの満足度が得られるかというテストだ。

「あったらいいね」は、実はやってみてがっかり、ということがありそうなので、少しでも実際のイメージに近いものでテストをやる必要があると考えた。

やったのは、確かFC2だったか、パスワードをかけた掲示板を作り、お互い面識のないサービス提供者と購入者が、掲示板の中で相談してみる、という実験だ。

まさに僕らがココナラをはじめるきっかけを与えてくれた、管理栄養士の菅原さんや、知り合ったばかりのベジフルビューティーアドバイザーの生井さんなど、多くの方にご協力いただいた。

実際にお金を払わなかったという点では不完全なテストではあったが、それでも、単なるソリューションを知ることを超えた、相談の持つ「グッとくる感じ」を掴めたのは大きな収穫だった。


また、ユーザーテストとは別にもう1つ翌週から開始したのが、「資格の発行団体やスクールへの営業」だ。

ケイコとマナブを買ってきて、マイクロサービスプラットフォームでサービスを提供するのにふさわしそうな資格やスクールを大量にリストアップした。

「資格はとったけれどその知識を生かせていない。誰かに価値を提供したい」と思っている女性というのが、マイクロサービスプラットフォームで想定していたプロバイダー像のど真ん中だった。

そこで、効率的にそのような方々にアクセスできないかと考え、とにかく大量に資格団体に連絡をとってみた。

何事も、まずアタックしてみる。迅速に。大量に。

その時に用意していたプレゼン資料。

表紙には、「"ちょこっとサービス"を提供する場 マイクロサービスプラットフォーム(仮称)のご紹介」と書いてあった。

今見ると、まだ当時はヘルスケアビジネスのアイデアも同時並行で模索していたためビジネス領域としてヘルスケアに触れてはいたが、ミッションは今と同じ事を書いているなーと感慨深い。

わーわーと議論を重ねる中で、ヘルスケア時代から、創業メンバー3人の思いってのは割りとここに収束していたんだな、と。


プレゼン資料そのものは、サイトの説明などが中心だったが、こんな感じで資格団体へのメリットもアピールしていた。メリットがないと協力してくれないからね。

とにかく、まだ法人にもなっていないし、お見せ出来るサイトがなにもない中での営業活動はかなりしんどかった。なかなか話を聞いて頂けるところまで到達しない。心が折れそうになりながらも、@maytant がよく頑張ってたなーと懐かしい。

リストアップや営業活動は、学生インターンも協力してくれた。

結果、多くの団体と実際に会ったり電話で話したりでき、「こういうサイトがあると助かる」というコメントをたくさんいただけて、勇気づけられたものだ。



インタビューの日々


その後も、一度ヘルスケアのビジネスプランを葬っていることから、とにかくユーザーニーズに確信が持てるようになるまでは安易にサイトの開発に入れないと、インタビューばかり繰り返していた。

(もちろん他にも色々やっていたけれど、それはまた後日)

ちょうど11月8日にONLAB Startup School「シリコンバレー流UXアプローチ」 がSFCであり、@satoshimmyo が聞いてきたのだが、その時の資料のPart2にあったインタビュー手法を、これもまた愚直なままにマネして、インタビューを繰り返した。

Tokyo 1 day (日本語)

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当時作ったペルソナは、ライフタイムイベントが発生し、誰かに相談したくなっているであろう人たちのペルソナ。上のスライドの52ページと同じものを作った。

具体的には、留学・受験・就活・結婚(恋愛)・子育てといったテーマを選び、それに該当する人をとにかく探し、インタビューやら座談会を繰り返した。サイトのデザインを見せること無く、とにかくそのイベント時の心境などを語ってもらった。

この活動は1月くらいまで断続的にやっていただろうか。

何か、すごく遠回りしたような気がしていたのだが、今振り返ってみると、「相談」が持つ本質的な価値や、何が揃うとその価値が提供されるのかといったところを、深く議論できたのはよかったのかなと思う。

スピードは犠牲にした気もするが、ココナラはとりあえず仕組みだけ出せばなんとかなるサービスだとは思っていなかったので、(もっとうまいやり方はあったにせよ)正しい道を通ってきたのかもしれない。



・・・さて、随分と長くなってしまったので、今日はここまで。

続編では、もう少しビジネスデベロップメントに近い話を書きます。

当時のプレゼン資料を晒すのは結構恥ずかしいのだが、誰かの参考になったらいいし、少なくとも面白がってくれれば幸い。

なお、ココナラを知らない人には何の話かわからないだろうから、よかったら登録してみてください。登録するだけなら無料なので(笑)





(一緒に知識・スキルの販売サイト「ココナラ」を育ててくれるエンジニアやインターンを募集しています)

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