2012年11月9日金曜日

「里親」になった話 〜モンゴルの子どもたちを応援してあげてください

昨日、モンゴルの子どもたちによるチャリティ・コンサート
「太陽のコンサート2012」に行ってきた。

というのも、ここ数日モンゴルの子どもたちのホームステイを受け入れていて、
彼らが出演するコンサートだったから。

いや、ホームステイというのは若干ニュアンスが違うかもしれない。

なぜなら、彼らは僕のことを「お父さん」と呼ぶから。

彼らはモンゴルの孤児院育ち。
孤児院に入る前は、いわゆる「マンホールチルドレン」だった。

親を持たず、家を持たず、マイナス30度の天候を乗り切るために、
風雨がしのげるマンホールに住み、物乞いなどをしながら共同生活をしていた子どもたち。

温水パイプに抱きついて眠り、
寝ているとネズミに唇を噛まれて病気になってしまうような生活をしていた子どもたち。。。

そんな彼らにとって、僕ははじめての「お父さん」だったわけだ。

彼らを受け入れるきっかけは、
NGOユイマール代表の照屋さんとの出会いだった。





NGOユイマールの挑戦とその奇跡


照屋さんとはじめて会ったのは、NPO二枚目の名刺のイベントだった。

モンゴルのマンホールチルドレンを救うべく、
モンゴルの孤児院「太陽の子どもたち」を支援するNGOユイマールを立ちあげ、
代表を務めている。


初めて彼女の話を聞いた時の衝撃は忘れられない。

その時同じく初めて彼女に会ったNPOクロスフィールズの小沼さんも、
その時の衝撃をブログにこう書いている


彼女の小さな身体から発せられるパワーに、
文字通り、雷に打たれたような衝撃を受けたのを覚えている。

彼女がNGOユイマールを立ち上げるに至った背景、
様々な苦難を乗り越えて活動を継続してきたプロセス、
そして何より、活動で変わった子どもたち1人1人の物語。

その全てが、直球で胸に訴えかけてくる。

僕はいま彼女とはすごく親しい友人になっていて、
彼女のプレゼンは色々なところでもう10回くらい聴いている
気がするけれど(笑)、毎回毎回泣かされてしまうくらいだ…


ユイマールが生み出している価値のポイントは、

  • 保護しただけでは卒院しても、子供の97%はマンホールに戻るだけだった孤児院。それを、手に職(音楽や踊りなど)をつけさせることで、自立させ、子どもたちに大きな自信や自己肯定感をつけさせることに成功していること
  • たった短い期間だけれども、ホームステイ先の「お父さん・お母さん」から愛情を受けることで、心の欠損を埋める効果を実現していること
  • そのような、努力すれば夢が叶うという経験を通じて、将来に対してポジティブになれることに貢献していること。なんと、今や大学進学率は97%で、その後の就職率は100%


本当に素晴らしいと思う。

照屋さんやNGOユイマールの取り組みについては、ぜひこの動画も見て頂きたい。




初めて話を聞いて心が震えた僕は、その場で
「こんど子どもたちが来日する時はぜひホームステイの受け入れを」
と申し出たわけだ。

そして今回それが実現した。



ホームステイを受け入れて感じたこと


我が家に来たのは、国立の音楽大学に1位で合格したという、来日した子どもたちのお兄さん格のバターと、初来日で最年少のアリウカ。

息子の小学校に来て、馬頭琴を演奏してくれたバター

芦ノ湖の前で笑顔のアリウカ。

子どもたちはとても純粋で、優しい子たちだった。
手伝いは言われなくてもなんでもするし、自分より小さい「新しい兄弟」の世話もしてくれる。

礼儀正しいし、一気に好きになった。

なんとなく
「孤児の子を受け入れたらきっと嬉しさから素直で優しい反応をしてくれるだろう」と
人は期待してしまうかもしれない。

でも、普通はそう簡単にはいかないはずだと思う。

児童養護施設には行ったことがないけれど、
児童養護施設の支援をしている友人がまわりにはたくさんいるので、
話を聞くことはある。

現場を見ていない僕は多くを語れないが、
愛情を受けることなく育てば自己肯定感もなく、
何にでも諦めがちになったり大人を敵視したりと、
とにかくコミュニケーションは簡単ではないとのことだ。

だからこそ、ユイマールの取り組みはすごいと言わざるをえない。

自己肯定感を持たせるための音楽・踊りなどの教育や、
心のケアのための取り組み。

我が家に来た子どもたちも笑顔の裏には僕が想像できない暗闇があるのかもしれない。
でも、そんなことを微塵も感じさせない、素直で素敵な子たちだった。

アリウカは1才の頃にはもう両親がおらず施設に入っていたそうだ。
−30度を下回る事も珍しくないモンゴルで誰にも温めてもらえず泣いていた彼を想うと、
胸が締めつけられる。

今回「里親」になったことで得たものについては、
まだゆっくり考えられていない。

でも、僕らはとても恵まれているんだなということは、素直に感じた。

「だから何かを我慢しなくちゃいけないんだ」とか、
そういうことを言いたいのではない。
先進国で「豊か」な日本にだって、貧困も孤独もある。

でも、改めて、自分が持っている普通の幸せを噛み締めることは悪くない。
経済的な話というよりは、子どもたちを受け入れることで再発見する、
自分自身の気持ちの余裕みたいなもの。

今回、モンゴルの子どもたちを受け入れるのにあたって、
自分の子供達の成長も垣間見れた。

相手の気持ちを考え、とても社交的に、そして優しく振舞っていた。
僕とは違う、また少し違う何かを感じたことだろう。

「恵まれない子どもたちに支援の手を」というのは、気持ちはあっても、
きっかけや必然性もなければ、やるならやるで難しさがある場合もあり、
実行に移せない事が多い。

でも、そんな方には、ユイマールを通じた支援はオススメかもしれない。

噂に違わぬ素直で素敵な子どもたちだった。

心のケアが必要な子どもたちに手を差し伸べるのは、
素人が軽々しくやれることではない(と思う、多分。知らないだけかもしれないが)。

でも、モンゴルだけでなく日本にもたくさんいるような、
世界中の孤児となった子どもたちに、
思いを馳せられるきっかけはあってよいんじゃないかな。



ぜひ、子どもたちに会いに行ってあげてください


昨日に引き続き、東京では13日(火)に銀座でコンサートがある。

孤児院で毎日している練習の成果をぜひ見に行ってあげて欲しい。

彼らはこの日の日本公演のために毎日厳しい練習をしてきている。

優秀な成績で国立の芸術大学に行ける子が何人もいるくらい、
演奏も踊りも素晴らしい。

彼らにとっては、この日に日本の皆さんから受ける拍手が、生きる勇気になる。

「うちの子」のバターが弾く馬頭琴は、たった2本の弦で弾くとは思えない豊かな音色。

我が家にいる時はその才能を知る機会はなかったのだけど、舞台の上のアリウカは、歌・踊り・曲芸・演奏となんでもこなす、すごい子だった。

みんなみんな、素晴らしい技術と、素敵な笑顔を見せてくれる。


正直なところ、チケットの販売は若干苦戦している様子。
ぜひご友人をお誘いの上、彼らの成果を見に行ってやってください。

前半には照屋さんの講演もあるので、
これだけでも行く価値ありですよ!!

「太陽のコンサート2012」
日時:11月13日(火)19:00〜(開場18:00〜)
場所:銀座ブロッサム

イベントの詳細はこちら


また、平日の夜に参加できない方は、児童養護施設を支援するNPO Living in Peace との共催で、明日10日(土)にあるようです。

「奇跡」とも評されるその自己実現教育の秘訣は何か?
その教育方法は日本においてどのように普及させられるか?

照屋さんや孤児院の院長も登壇されるイベントで、
イベント中にはモンゴルの子ども達によるミニコンサートもあるようなので、
こちらも要チェックです。

「モンゴルの”奇跡の孤児院”から学ぶ自己肯定感をはぐぐむ教育」
日時:11月10日(土)19:00~(開場18:30~)
場所:国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟

イベントの詳細はこちら



なんだか、子どもたちから元気をもらった気がする。
僕もがんばろう。


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