特徴としては1対1でのランチではなく、ペアを組んで登録して、4人でのランチになるという点。ペアのマッチングは独自アルゴリズムにより、業種や共通の友人がいることなどを軸に、ランチが成立しやすいペアを提案してくれる。
提案してくれたペアとランチをしたいと思えば、サイトを通じて連絡し、お店を決めて待ち合わせるという、サービスとしてはシンプルな仕組み。
実は僕はもう10回以上使っていて、1月のソーシャルランチのキャンペーンでは利用者ランキングで上位1桁のヘビーユーザー(笑) 以前こちらのエントリーで紹介したように良い出会いがたくさんあって、とても楽しんでいる。
一方で、もう一つ紹介したいサービス、コーヒーミーティングは、「近いけど遠いあの人とお茶してみよう」というキャッチフレーズで、名前のとおり喫茶店などで会うことを促すサービス。
こちらの場合は一人で登録し、同じように登録している人のリストを見て、その人が会える時間と場所を設定していれば申し込むという流れ。
まだオープンしたてなんだけど、とりあえず僕も登録してみたらすぐに2件のお茶会の申込があった。また、なんとなく気になっていた人が開いたお茶会に申し込むことでもう3件、あわせて5件も一気に決まってしまった。
(そのうちの1件は、相手が設定した際たまたま近くにいたので、2時間後には実際に会っちゃった)
■気軽な言い訳があるから会いやすい
どちらも共通しているのはランチなりお茶なりの場で会ったことのない人と出会うということなのだが、大事なのはこの「ランチ」や「お茶」などの会うための「気軽な言い訳」を限定しているという点だ。
「相性がよさそうだから会ってみよう」とか「あなたのビジネスに興味があるので会いたいです」といきなりメールを送るのは勇気がいるし、言われた方もびっくりする。
でも、「どうせランチの時間は毎日あるのだから誰かとご飯食べてもいいかな」とか「たまに喫茶店で暇する時間もあるので話し相手がいてもいいかな」といった感じで、文脈や言い訳があれば、会うまでのハードルがある程度下がるわけだ。
さて、この2つのサービスは共通点がある一方で、相違点も結構大きい。どちらかというとこの違いに面白さや工夫を感じるので、そちらを中心に紹介してみよう。
■相手を提案されるソーシャルランチ
これは同僚の一言でなるほどと思ったのだが、ソーシャルランチの一番のキモは相手を選べないこと。つまり人を商品だとすると「在庫が見えない」という点。
例えばランチの場所を恵比寿に登録し、同じく恵比寿に登録している人の一覧が見えてしまうと、ざーっと見て面白い人がいなければ、二度とソーシャルランチを使わないかもしれない。
しかし一日一組だけの提案だと、その裏側に同じく恵比寿に登録している人がどれくらいいるかさっぱりわからない。毎日「ひょっとすると今日は面白い人が提案されるかも」と思うし、実際に提案された人に申込みができるのも24時間限りなので、「これを逃すとこの人と会う機会はもう来ないかもしれない」という気分にさせる。
(これ、同様の仕組みの婚活サイトであるfriggも同じことが言えそう。)
一方で、相手はあくまでもサイト側がプッシュで提案してきた相手なので、興味がなければスルーするだけだし、実際にランチ申請が来たとしても予定があわなかったりで放っておけば時間切れで不成立なので、あまり胸が痛む事無くスルーしやすい。
このあたりの仕組みがとても上手いサービスだなーと思う。
■相手を自分で探すコーヒーミーティング
一方のコーヒーミーティングは、その人が登録した興味のタグから相手を探していくスタイル。つまり、「在庫が全部見える」。上記の話に沿えば、面白い人がいないと判断されればもうサイトに訪れないリスクがあるスタイルだ。
しかしながらそのリスク以上におもしろい仕組みが「いつかお茶したい」という登録システム。
誰だって相手に断られて自分が傷つくのは嫌なもの。だからいきなり申請するのってのは勇気がいる。これについては、ソーシャルランチの場合はサイトが相手を提案するということで背中を押してくれる一方、コーヒーミーティングの場合は、とりあえず「いつかお茶したい」という気軽な登録の仕組みを用意している。
いまこの瞬間に、相手の都合もよくわからない状況で勇気を出して申し込むということをする必要はなく、すぐじゃなくてもなんとなく会う機会があればいいなーと思えば「いつかお茶したい」と登録だけしておく。で、実際にその人が会える日時をセットした時に自分がタイミングがあえばお願いする。
この手のマッチングサービスはコンセプト的にいいなと思っても、タイミングが合わなかったりしてなかなかリアルのマッチングまでいたらないもの。そこのところを、この「いつかお茶したい」登録でうまく導線を作っているなーと思う。
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■日時が決まっていないソーシャルランチ
ソーシャルランチは基本的に「緩い」。何が緩いかというと、決まっているのはペアの相手とランチを食べる街だけで、お互いの予定については考慮されていない。
相手に興味を持てるかどうかについては、参加者の増加とアルゴリズムの進化でマッチング率が上がっていくだろう。ただ、ランチの時間が実際に空いているかどうかは考慮されていないので、なんとなく忙しかったりすると申請するのも応諾するのもめんどくさくなりそう。
その気楽さがソーシャルランチの良さでもあるが、申し込んでもスルーされるとそれなりに萎えるものである(笑)
(僕は5割以上スルーされているんじゃないかなぁ。。。)
ただ、ランチ時間と言えど昼休み前後は忙しかったりするので、相手の肩書きなどを見てから判断したいというニーズにはうまく適合しているシステムだと言える。わざわざ時間を使いたくない時だって当然にあるからね。
■日時が決まっているコーヒーミーティング
一方でコーヒーミーティングは、自分がコーヒーできる時間と場所を設定してから公開するので、申し込みがあった時点で基本的には確定する(申し込みを断るオプションもあるが)。
これ、申し込む側からするとすごく気楽。その人の予定が空いていて、あえて募集しているので、断られることをあまり考える必要がない。そして、「いつかお茶したい」と登録しておけば、その人がミーティングを公開したら通知が来るので、会いたかった人に会うことが実現できる。
逆から言うと、誰でも良いから自分に会いたいという人と会ってみたいという人からすれば、これはとても使いやすい。自分で日時を設定して、自らtwitterなどで拡散できる。
僕自身、会社に行く前の8時くらいからいろんな人と会ってみたいという思いがあって適当にtwitterなどで募集してみたりしていたのだが、このコーヒーミーティングを使えばそれがとってもやりやすい。
自分がセットしたミーティングに申し込んでくれたり、「いつかお茶したい」に登録されたりすると、なかなか嬉しくなってしまってまたセットしたくなったり(笑)
その代わり、「この時間にお茶できる人募集!」とやっているわけだから、肩書きを見てからスルーする、といったことはソーシャルランチに比べてやりにくいだろうね。
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■ペア同士4人で会うソーシャルランチ
冒頭で書いたとおり、ソーシャルランチは4人で行う。これには色々とメリットがあって、4人というのは3人よりも5人よりもまんべんなく全員が自然と会話をするのに適した人数であるということと、仮に話があわなかったとしてもペア内で会話をつなぐこともできるので、とにかく気まずい雰囲気になりにくいということだ。
そして、女性が使いやすいという点もある。女性にしてみたら、1対1ではないということでかなり使いやすいサービスであるとも言える。想像するに、1対1で知らない人と会うというのは、いくらfacebookで素性が分かる人だとしてもやっぱりいくらか怖いのではないかと思う。
まだ女性だけのペアと食事をしたことはないが、相手が男性と女性のペアというパターンはかなり多い。男だけに比べればそれなりに明るい雰囲気になるよね、やっぱり。
あとは、これは4人だからというよりも機械的に提案されているからという理由が強いかもしれないけれど、なんとなく、お互いが対等な雰囲気であえる感じがする。相手がそれなりに有名な人であっても、あまり気後れなく話せる雰囲気なのがソーシャルランチのよいところだ。
ビジネスとして難しいかもしれないのは、ペアを組むということそのもののハードルを超えられない人が結構いるらしいこと。先月に見たニュース記事だと、ソーシャルランチの会員数は2万人で、ランチ成立は延べ3,600人だということ。
僕みたいに複数回やっている人もいることを考えると、実際にソーシャルランチを経験したのは2,000人にも満たないのではないかと思われる。
どうも、登録はしたものの、そもそもペアを組んでいないという人が結構多いらしい。機械的に提案される相手には申請できても、複数の友達の中からペアの相手を申請する方がハードルが高いというのも、なかなか人間関係というのは奥が深い。
■1対1で会うコーヒーミーティング
一方でコーヒーミーティングは1対1で会うので、知らない人と話すのがそれほど得意ではない人にとっては、会ってみたら意外と気まずかったということになる可能性もある。
ただ、そもそもが「会いたかった人と会える」サービスなので、ひょっとすると片方が質問して片方が語るという流れが自然なのかもしれないし、対等な感じというよりは「人気者とそのフォロワー」という構図になるものなのかもしれない。
だって、「この時間なら会ってあげてもいいよ」というのに申し込むみたいなものだからね。
そういう意味でコーヒーミーティングのビジネスとしての難しさは、サイトが相手を提案してくれるわけではないので、いわゆる「ちょっとした有名人」しかミーティングを成立させることができない可能性があり、ざっと初期的な会いたいニーズが一周したら、そのあとはどうなるのかなーと気にはなる。
1対1なので若干覚悟がいる(?)かもしれないが、やっぱり会いたい人に会いにいけるという機会が提供されうるコーヒーミーティングはそれはそれでおもしろいのだ。
■今後のデザインが楽しみ
ソーシャルランチとコーヒーミーティング。上で述べたようにそれぞれ使い方が少し違うけれど、それぞれのサイトの目的にあわせてよく仕組みがデザインされていると思う。どっちが良い悪いではなく。
ソーシャルランチはランチの文化を変えるとまで謳っているだけあって、単なる社会人同士の出会いだけではなく、すごい時間割と組んで学生向けのサービスを始めるなど、着々と前に進んでいる。
副社長が「今年は儲けます」とブログで宣言していた記憶があるけれど、どんなマネタイズの仕組みを持ってくるのかすごい楽しみだ。
コーヒーミーティングはまだ立ち上がったばかりなので、UIについてはまだまだ改善の余地は大きいように思うけど、とりあえず面白いし、初期的なユーザーもそれなりに集まりつつあるように見えるので、ぜひぜひスピーディーな進化に期待したい。
一人のユーザーとしてこういう価値ある出会い系サービスが出てくるのは本当にありがたいし、便利な時代だなーと思う。
これからの展開が楽しみなこの2つのサービス、どちらも大応援である。