先日、熱海に3泊して1人読書合宿をやってみたらとてもよかったので、やり方をシェアしてみる。
合宿をやることにした理由
僕は読書があまり得意ではない。
まったく読まないというわけではなく、人並みには読んでいるのかもしれないが、経営者の立場としてこれくらいはインプットしておこうよという基準があるとしたら、多分達していないのではないかというコンプレックスがある。
まず、家で読めない。そして休日に読めない。
スポーツしたくなるし、お酒を飲みたくなる。
家族も家にいるし、ゆっくり本を読むかというモードになかなかなれない。
(テレビや映画もみないので、何をしているんだろうという気にもなるが・・・)
結果、移動中とか、ふらっと喫茶店とかで読むことになるのだが、どうしても細切れになる。
そうすると、時間があいて思考が途切れるし、飽きもきて、最後まで読みきれない。
まあ、ビジネス書であれば、後に残るものが1つ2つあれば十分かと思うし、頭から終わりまで読むことはマストではないと思うが、どうも罪悪感が残る。
いずれにせよ、効率がよい読み方にはなっていない。
そんな思いもあって、覚悟を決めてひたすら読書をする合宿をやってみようと思ったのだ。
もちろん、目的はある。
会社の事業の未来を考える上で、自分なりの未来観、社会観なるものをアップデートして、長期戦略の判断基盤にしたいという目的だ。
おかげさまでココナラも優秀な社員が増えてきて、僕は実務からかなり手離れしているので、自分の役割として、納得感の高い未来戦略を作っていくことの重要性が増えているのだ。
そんなこんなで、1人合宿を企画した。
所詮、1-2日の読書なのでそれで何かが完成するわけではないのは自明。
なので、「そこから始まる」ような読書合宿になるように設計した。
合宿の準備
・テーマを決める
まず最初にテーマを決めなければ。
僕はざっくりと、「政治・経済・文化・技術の未来について、ココナラに影響を与えそうなものを理解する」とおいた。
あまりに未来過ぎても現実的な戦略につながらないかもしれないので、長期の未来もある程度見つつも、ここ10年くらいにおこる変化を念頭に置くことにした。
・読む本を選ぶ
何よりも読む本を選ぶのが大切なわけだが、僕は以下のステップで行った。
- Amazonで気になる本をひたすらチェックしていく。関連に表示されて、評価が高いものはどんどんとウィッシュリストにいれていく。
- 本屋をめぐる。Amazonでは出会えなかった本を発見しながら、Amazonのウィッシュリストにいれていく。
- ココナラで本をオススメしてくれるサービスを買う。自分では選べない本や見落としていたものを補完してもらう。
- Facebookに投稿して僕の友人・知人の知見をいただく。かなりたくさんのレコメンドをいただけた。
ちなみに、ココナラで買ったのはこちらのサービス。期待通りだったので、オススメ。
・宿をとる
宿については、以下のような要件を兼ね備えているところをとった。
- 遠すぎない。最終日の朝はそのまま会社に出社する予定だったのもあり。
- 広い部屋が良い。狭いビジネスホテルだと気分が滅入りそうなので。
- 温泉があるといい。気分転換によさそう。
- 一泊二食付きがよい。外に食べに行く時間がもったいない。
- 安い方がいい。3泊もするので、お財布にやさしく。
結果、今回はこちらにした。
熱海までは品川から新幹線で30〜40分。
部屋は広くて、もちろん温泉もある。なのに安い。
びっくりしたのは、夜はお酒は飲み放題(笑)
読書の時間を確保するために、よるはしっかり飲んですぐに寝て、5時から読書した。
なお、今回は3泊なので、実質は読書合宿は丸2日だ。
・持ち物
以下のものを持っていった。
- ペン(ココナラのノベルティにもしたJetstream。書きやすいやつがいい)
- 大小の付箋紙
- ノートPC
- マインドマップツール
- ポケットWiFi
あとでやり方は書くけど、マインドマップでまとめることを想定していたので、XMindというツールをインストールしてから行った。
行く前に多少いじっておいたほうが、当日の時間の無駄はないかも。
あとは、BGMが欲しいので小さなスピーカーくらいは持っていってもよいかなとは思った。
PCやスマホで流すことにしたけど。
なお、本はAmazonから直接宿に送っておいた。
宿に一報いれておいて、送り、当日はフロントで受け取った。
今回は23冊買ったので、持っていくには重たすぎる。
(と思ったが、実はなんとかなったので、帰りはカバンにつめて帰ってきた。非力な人にはオススメしない)
なお、買った本のリストは最後に載せておく。
合宿の進め方
1. 本のカバーを全部外す
些細な事だけど、大量に読むには手に馴染む必要がある。
これだけでストレスをだいぶ減らせる。
2. 全ての本に目を通し、知りたいことを書き出す
目を通すといっても、23冊もあるのに全部読めるわけがない。
なので、以下のようなやり方をした。
- まえがきをちゃんと読む
- 目次を読む
- その本が何を主張していているかを想像し、その中で自分が知りたいことや疑問について考える
- 大きな付箋紙にそれらを書き出して本に貼る
- 全ページを一気にパラパラめくりながら、章のタイトル、小見出し、太字、グラフや表など、目につきやすいところだけを高速に見る
- 自分が知りたいと思ったことが書いて有りそうなページに小さい付箋紙を貼っておく
- これらを一気にやる(今回は23冊分)
これにかかったのがほぼ1日。
朝から始めて夕食前までに終わる感じ。
本は実際にちゃんと読んだわけではないけれど、どの本に何が書いてあるかはざっくりわかる。
また、たとえ1ページ1秒のスピードであったとしても、全ページをめくる。
見出しを一気読みすることで全体感があたまに入ってくるし、特徴的なグラフなどは記憶に残る。
よく、コンサルタントがプレゼン資料を作る時に、各ページのリード文を読んでいくだけで全体の主張が伝わるように設計したりするけれど、それを読んでいる感覚。
何にせよ、全ページ見ることで、理解も進むし、後から読みたいところを検索するスピードがあがる。
そしてもう一つ重要な効果。
「全ページ読んだ」という気持ちになれる!
最後まで読み切っていないという罪悪感がなくなる心理的効果!
(読書が苦手な僕にとっては、罪悪感がないどころか、圧倒的な達成感(笑))
こんな感じで、1日目が終了。
できあがった本の山はこんな感じ。
3. マインドマップにイシューを書き出す
大きい付箋紙を眺めながら、前日に書き出した自分が知りたいことや疑問点などに目を通し、その中でも大きめのイシューを書き出してみる。
実際にやってみたのはこんな感じ。
実際に書いたのは、以下のようなもの。
- (大テーマ)2025年までに個人の「働き方」「生き方」「幸福」はどのように変化し、ココナラは何に対応し何を先導するのか
- 確実に変わる外部環境とは
- 現在の「働く」に関する問題
- 人生100年時代の働き方
- 働き方がアップデートされた後の企業のあり方
- これからのお金や経済のあり方はどう変わるか
- 人生100年時代の幸福とは
- テクノロジーが与える変化は
もうちょっと違う切り口もありえたかもしれないが、高速読書をしたなかで直感的に書いているし、違和感出てきたらいくらでも書き直せる。
で、そこに、小さめのイシューをつなげていき、それに対する答えが書いてありそうな本のページ(小さい付箋紙が貼ってあるところ)をざっと読んで、どんどん書き込んでいく。
こういう作業をする時にマインドマップのソフトはとても楽。
雑に書きなぐれるし、後からレイヤーの上下や移動などの編集もしやすい。
全体像を把握しながら、後か追加していくことはいくらでもできる。(紙だと追加できないからソフトがいいと思う)
この時に気をつけるのは、本を読み込みたい欲求はぐっと抑え、イシューに関連することだけを読んで書いていく。
本の要約をしようとしてはいけない。
こんな作業を繰り返していき、マインドマップを書き終わるのにちょうど1日くらい。
できあがったのはこんな感じ。
だいぶ細かい。
もちろん、答えが出ていないイシューはたくさんあるのだが、それは今後、今回買った本をちゃんと読み込みながら書き加えていけばいいし、今回の本に答えがなければ別の本を買って加えていけばいい。
そして、これこそが今回の合宿の成果物であり、財産である。
自分が気になる大きなイシューとそれに対する仮説が体系的に書かれていて、当面はあらゆる読書をこのイシューの塊を強化・アップデートしていくかたちで行うことができる。
情報をとにかくインプットしてから気づきを得ていく読書のやり方は、膨大な量をつねに読み続けられる人や、頭のなかにイシューマップがキレイに整理されている人なら可能かもしれないけれど、僕にはちょっと難しい。
なので、読書ではなく「イシュードリブンの調査」だというつもりで読書に臨んだ。
ということで、マップという礎ができたので、今後の読書がとても楽しみなのだ!
目的があるもの、成果が見えるものは、やる気が出やすいんだな!
やってみての感想とTips
ということで、初めてやってみた読書合宿は、自分の中ではとても有意義だった。
大きなレベルで思考がまとまったし、僕の言葉で未来をいくらか語れるようになった。
今後、イシューのマップに肉付けしていくのが楽しみで仕方ない。
以下、1人読書合宿に興味がある人に、上では書いていないTipsを。
- 本の冊数は少し多めかな、というくらいが良さそう。当たりハズレもあるし。今回の23冊はちょっと多すぎかなとも思うけど、感覚的には10冊だとちょっと少なすぎ。(テーマの広さ次第か)
- 今回のテーマ設定は、大きさとしてはちょうどよかったか、ちょっとだけ大きすぎたかな、くらいの感覚。もっと小さく絞って深掘るやり方もあるとは思うけど、どちらかというと粗くても全体像を把握したかったので、結果としてはよかった。ただ、これ以上でかいテーマだとちょっと2日じゃ無理かも。というよりも、本の選択が難しくなる。今回もテーマによっては不完全燃焼。
- 本は同じような領域で複数あるといい。賛否の両方を見れたほうが特定の人の主張に引っ張られすぎずにバランスとれる。どっちにしろ人間は見たいものだけ見るものなので、賛否の両方をみたところでまとまらないなんてことはない。
- 本の良し悪しというより、合宿に不向きなものがあった。それは、章立てがロジカルに組み立ててなくてひたすら論考が進むような本。もっと有り体にいうと、目次だけみても中身の想像ができない本。しっかり読めばきっと学びがあるのだろうが、今回のスタイルにはあわないからまた別途読みたいところ。あとは、対談ものもちょっとポイントを拾いづらかった。
読んだ本のリスト
最後に、読んだ本のリストと、当初の候補、皆さんからの推薦の本を紹介するよ!
本当にありがたい(保存版)
ということで、もし1人読書合宿をやられる方、既にやったことがある方は、お互いのノウハウをシェアしたい!